動脈硬化症
動脈硬化症
動脈硬化とは?
日本人のおよそ5人に1人は動脈硬化による心臓や脳の病気で亡くなっています。
血管の内側コレステロールなど脂質物質が付着して溜まることで、血管が硬くなった状態です。血流が悪くなるだけではなく、血管が硬くなって柔軟性がない状態のため、血液による圧力でダメージを受けてしまいます。中高年になって初めて発症するのではなく、実は10歳頃から徐々に進み、30歳頃になって動脈硬化として現れます。このように、自覚症状がないまま病状が進行するため、ある日突然に脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす恐れがあるのが大きな特徴です。
症状
初期症状は、病気が進行するまで自覚症状がほとんどありません。しかし、動脈が狭窄し、血流が悪くなることで、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの症状が現れます。狭心症では、胸の痛みや息切れが起こり、心筋梗塞では、激しい胸痛や吐き気、発汗などが現れます。脳梗塞の場合は、片麻痺や言語障害、めまいなどが起こります。
原因
心臓から送り出される血液を全身に運ぶ動脈が、酸素や栄養素を運ぶ重要な役割を持っており通常は弾力性がありしなやかですが、加齢による老化や様々な危険因子によって厚く硬くなってしまうのが動脈硬化です。
大動脈など比較的太い動脈に粥腫(じゅくしゅ)ができるのが、粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)です。これは動脈の内膜に血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)などが沈着してドロドロの粥状物質(プラーク)となり、血管が狭くなって狭心症が起こります。さらに柔らかいプラークが破綻してそこに血栓ができると、血管が詰まってしまって心臓に負担がかかるため、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします。
動脈硬化の主な危険因子
診断基準
動脈硬化の診断は、主に医師の問診や身体検査、血液検査、心電図、エコー検査、動脈造影などの検査を行い、総合的に判断されます。リスク因子の有無や動脈の状態を評価し、動脈硬化の程度や合併症のリスクを把握します。
当院では、血液検査はもちろん、ABI(血管年齢)検査や頸部エコー検査、腹部エコー検査が可能です、定期的な検査をお勧めいたします。
治療
高血圧は、ほとんどのケースで自覚症状がないまま動脈硬化を進行させてしまいます。上と下の血圧いずれも動脈硬化にダメージを与えるとし、心筋梗塞などの発症リスクがあるため、高血圧を改善することが重要です。
また、脂質異常においては、LDLコレステロール・中性脂肪が増大することで動脈硬化を進行させてしまうことから、脂質異常に対する適切な治療を行います。逆に、HDLコレステロールが減少すると、動脈硬化が進行するとされています。
喫煙も動脈硬化を進めるため、禁煙を心がけて動脈硬化を予防・進行を防止していきます。喫煙は、本人だけではなく側にいる人も受動喫煙者となって動脈硬化発症リスクが高まるため、注意が必要です。
動脈硬化の予防には、健康的な生活習慣を維持することが重要です。バランスの良い食事、適度な運動、禁煙、アルコールの適量摂取、ストレスのコントロール、十分な睡眠、定期的な健康診断などが効果的です。