帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹とは?
水痘帯状疱疹ウイルスが空気・飛沫・接触感染によって感染し、発疹が出現する1-2日前から全ての発疹が痂皮化するまで感染性があります。発症要因として加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、重症な感染症、放射線や紫外線の曝露、免疫抑制剤や抗がん剤を使用したことによる免疫力の低下などが考えられます。成人の9割以上が水痘・帯状疱疹ウイルスを保有し、50歳以上になると発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症すると推定されています。高齢者が帯状疱疹にかかりやすくなるのは、加齢とともに免疫力が落ちるためではありますが、最近では年齢とは関係なく、20~30歳代の若い人でも、発症する人が多いです。帯状疱疹の症状には個人差がありますが、はじめに感染後14-16日(範囲: 10-21日)の潜伏期間を経て皮膚に神経痛のような痛みが起こります。皮膚の違和感やかゆみ、しびれとして感じる程度から、針で刺されたような痛みや、焼けるような痛みまで様々です。周囲に水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を保有していない人がいる場合は、新たに水痘帯状疱疹ウイルスに感染する可能性があります。
帯状疱疹感染の合併症
稀な合併症として、脳炎、髄膜炎、小脳失調症、肺炎、血小板減少などが挙げられます。正常な免疫を有する小児においては、多くの場合自然軽快しますが、成人は小児と比べて重症化、特に肺炎などを合併やすくなります。また、免疫不全患者においては、多臓器不全、凝固障害などを伴う重症水痘へ進行し、最悪の場合は死亡する場合もあります。
帯状疱疹感染対策として
脳神経節に潜伏し続けている水痘・帯状疱疹ウイルスが、加齢、疲労、ストレス悪性腫瘍などの免疫力の低下によって再活性化した結果、引き起こされる症状ですので、ストレス、疲労を蓄積させないよう日頃から体調管理が大切です。帯状疱疹になりにくい体づくりのためには、食事のバランスに気をつける、睡眠をきちんととるなどの規則正しい生活習慣、適度に体を動かすことなどが大切です。
帯状疱疹ワクチンの効果
帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹にならない・重症化しないようにするためのワクチンです。接種すれば絶対にならないわけではありませんが、重症化を予防できます。もちろん発症リスクを下げることができます。
また帯状疱疹は約6.4%に再発が認められるため、帯状疱疹にかかったことがある方の再発予防としても有効です。
帯状疱疹予防ワクチン 比較表
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ビゲン |
シングリックス |
ワクチンの種類 |
生ワクチン |
不活化ワクチン |
接種回数 |
1回 |
2回 |
予防効果 |
50~60% |
90%以上 |
持続時間 |
5年程度 |
9年以上 |
副反応 |
接種部位の痛み
腫れ、発赤
3日~1週間 |
接種部位の痛み(強い)
腫れ、発赤、筋肉痛、全身倦怠感
3日~1週間 |
料金 |
8,250円 |
22,000円×2回 |
長所 |
1回で済む
値段が安い |
免疫低下していても接種可能
予防効果が高い
持続期間が高い |
短所 |
免疫低下者は不可
持続期間が短い |
痛い
2回接種が必要
値段が高い |
帯状疱疹ワクチン Q&A
①帯状疱疹は他の方へうつりますか?
- 周囲の人に帯状疱疹としてうつることはありません。しかし、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を保有していない人には
容易に感染する可能性があります。
②帯状疱疹になったら治療は?
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- ウイルスを退治する抗ウイルス薬や、痛みを抑える鎮痛薬などを使います。痛みを伴う発疹を見つけた時は、早めに受診をしましょう。肺炎の原因は様々な原因でおこり、また肺炎球菌には多くの血清型がありますので、過去に肺炎や肺炎球菌感染症にかかっていても、定期接種の対象になります。
③以前すでに帯状疱疹歴がありますが、ワクチン接種をした方がいいですか?
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- 一般に帯状疱疹は約6.4%に再発が認められます。
そのため、帯状疱疹の再発予防目的でワクチンを接種する意義はあります。
過去5年以内に帯状疱疹発症歴がある場合、すでに抗体ができている可能性がありますが、
特に発症から5年以上経過している場合は接種をお勧めします。
尚、5年以内に発症歴があっても希望があればワクチン接種は可能です。
④帯状疱疹のワクチンの種類と金額、効果はどう違うのですか?
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- 帯状疱疹に有効なワクチンは2種類あります。上記の帯状疱疹予防ワクチン比較表をご参照ください。
帯状疱疹の発症率は50歳以上で増加し、50代、60代、70代と加齢に伴ってさらに増加し
帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクも加齢とともに高まることから予防接種の対象年齢を50歳以上とし、接種の推奨をしています。